2022年NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。ドラマ序盤~中盤にかけてのキーパーソンと思われるのが、中村獅童さん演じる梶原景時です。
さて、そんな梶原景時ゆかりの地は静岡の梶原山や八王子、宮城の気仙沼などにも存在しています。数あるゆかりの地の中で、今回は神奈川県寒川町にある景時の住まいがあった「梶原景時の一宮館址」についてご紹介。実際に訪ねてみたので、その感想とともにお伝えします。
梶原景時の館があった「一宮館址」
こちらが、「梶原景時の一宮館址」。
神奈川県のほぼ中央、高座郡寒川町にあります。
それなりに往来のある道路沿いにありますが、あまり規模が大きくなく、かつ地味なので、気を付けていないと見逃してしまいそうです。
景時の所領は当時、鎌倉からわずかに離れた相模国一宮(現・神奈川県寒川町)にありました。源頼朝に重用されていた景時の本宅は鎌倉にありましたが、それとは別に非常時への備えや情報収集のために、一宮にも館を構えていたのですね。
「館址」となっている通り、館自体は現存しておらず、復元もされていません。館のあった敷地は相当広く、江戸時代に編纂された風土記「新編相模国風土記稿」によると、約2800㎡もあったそう。
今、残っている「一宮館址」の規模自体はとても小さいです。付近に建っていた案内板を見ると、当時の屋敷の広さがわかります。
さっそく、一宮館址の中に入ってみましょう。鳥居をくぐると、小さな太鼓橋があります。
太鼓橋の前には、「館址」と書かれた石柱が!
傍らには史跡の説明が書かれた案内板もありました。
橋を渡ると奥に見えてくるのが「一之宮天満宮」です。
この一之宮天満宮は、景時亡きあと、彼の風雅をたたえ、里人によって創建されたと伝えられています。
一之宮天満宮がある場所は、当時、館の物見櫓(やぐら)があったそう。当時は遮るものもなかったため、幕府のある鎌倉方面まで見渡せたのかもしれませんね。
祠の隣は小さな公園になっていて、ブランコと滑り台がありました。
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ちなみに、この一宮の館は、景時が頼朝の死後、他の御家人たちから追放された後に住んだ場所でもありました。
その後、再起を期すために一族とともにこの館を出て、京都に向かう途中、駿河国(現在の静岡市梶原山)で地元の武士たちと闘うことになり、その地で最期を迎えます。
頼朝からも信頼が厚く、13人の合議制のメンバーにも選ばれた景時。鎌倉幕府の立役者の一人である景時は、この地を去らなければならなかったときはどんな気持ちだったでしょうね。
「伝七士(梶原氏一族郎党)の墓」
さて、この一宮館址の付近にはお堀や土塁伝承地が確認されているのだそう。一宮館址から80mほど東にある「薬師堂」近くには、内堀伝承地と、「伝七士(梶原氏一族郎党)の墓」という石造物群も残っているというので訪ねてみます。
■「伝七士(梶原氏一族郎党)の墓」の2つの説とは
1.他の御家人から追放された景時は、一族とともに一之宮の館を出発し、上洛の途中に討死してしまいます。そこで、一之宮館の留守番を務めていた家族、家臣がこの地に弔ったものという説。
2.景時父子が討死してからしばらく後のこと。景時の奥方を守って信州に隠れていた家臣7人が、世情が変わったのを見て鎌倉に梶原氏の復権、所領安堵(領有権を認めること)を願い出た。しかし許されず、七士はその場で自害しこの地に弔ったという説。
一宮館址に面した道路を東に歩いていくと、「伝七士(梶原氏一族郎党)の墓」という看板が見つかります。
道路の近くにある解説看板は目立つのですが、お墓への行き方がわかりにくいかも。
看板からすぐ近くにあるのですが、一般住宅の家の裏にある感じ。「ここ、ホントに入っていっていいのかな」とドキドキしながら歩いていくと、墓碑が見えてきました。
「伝七士(梶原氏一族郎党)の墓」がこちら。
墓碑の脇にはレリーフが建っています。
そこに描かれているのは、景時の長男である梶原景季(かげすえ)。彼も景時とともに上洛中、駿河の国で討ち死にしてしまうんですよね……。
墓碑とレリーフの後ろには小さな水路がありますが、これは当時の内堀の名残と言われているそうです。
■アクセス
JR「寒川」駅下車徒歩11分
神奈川県高座郡寒川町一之宮8-6-6
まとめ
「梶原景時の一宮館址」は、JR相模線「寒川」駅から、歩いて11分の場所にあります。現地には駐車場はなく、近くにコインパーキングやコンビニもありません。それなりに交通量が多い道沿いにあり、かつ交差点にも近いので、「ちょっとだけ車を停めて、せめて写真だけでも」も非常に厳しい。電車を使って訪れるのがおすすめです。
歩いて15分くらいの場所には、八方除けで知られる神社「寒川神社」もあります。鎌倉時代にはすでに創建されていたという歴史ある神社で、源頼朝や武田信玄などからも信仰を集めてきたとか。もしかしたら景時も参拝したかもしれませんね。
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