ン十年前、中学の時の修学旅行先は、奈良県だったkerokoです。
修学旅行というと、京都や奈良、沖縄・東京などの観光地や都市を訪れ、寺社・遺跡・文化遺産などを見学するというイメージ。泊まるのはホテルや旅館を思い浮かべますよね。
ところが最近、修学旅行で「民泊」を採用しているところが増えているのだそう。
民泊というのは、ホテルや旅館・民宿などでなく、一般の家庭に泊まること。
実はうちの長男、修学旅行ではないですが、2年次の学校の2泊3日の研修旅行で東北地方にて「民泊」を体験しました。
私も親としては、はじめての「民泊」に、正直戸惑いも多かったんですね。
「ホテルや民宿でなく、一般家庭に宿泊!?」
「受け入れ先は(失礼だけど)信頼できる家庭なの?」
「宿泊先に先生がいない?先生の目が届かなくなるけど、トラブルとか大丈夫?」
「旅行のために積み立ててきたんだよなあ。高いお金を出してわざわざ普通の家に泊まるのか…」
「一般家庭に3日間。子どもは飽きないかな」
…などなど。
しかし、結果的には子どもは親の心配や不安をよそに、予想以上に楽しんで帰ってきました。
ここでは、親の目線で、
- なぜ、学校の旅行で民泊なの?
- 子どもは民泊で何をしたのか?
- どんな家に泊まったのか?
- どんな食事だったのか?
- 旅行代金はどのくらい?
- トラブルがあった場合は?
- 挨拶の手土産って必要?
- 民泊のメリット・デメリットって?
などを記していきますね。うちの場合、研修旅行なので修学旅行とは少し違うかもしれませんが、参考になれば幸いです。ちょっと長くなりますが、お付き合いください^^
Contents
なぜ修学旅行や研修旅行で「民泊」?
現在、修学旅行生を誘致している地域は、沖縄や北海道のほか、東日本大震災の被災3県(岩手県、宮城県、福島県)や、九州など、全国に広がっているそう。
受け入れ先の広がりとともに、学校行事で民泊を取り入れる学校も増えています。
今まで一般的だった「文化財や観光地などを見学し、集団で活動する」という修学旅行も悪くないと思うのですが、あえて民泊を採用する理由は何なのでしょうか。
その狙いの最も大きなものは「異文化体験」なのだそう。
文化や慣習の異なる地域を訪れ、そこで自然体験や農林業体験。そして、いたれりつくせりのホテルや旅館ではなく、一般の家庭に泊まります。
食べるもの・話す言葉(方言)・生活習慣も異なる環境で過ごすなか、さまざまな学びを得ることができる…ということでしょうか。
自治体側も、子どもたちを受け入れることで、地域での団体旅行客の増加が見込めるというメリットがあります。学校の修学旅行や研修旅行に民泊が増えているのは、こうした背景もあるようですね。
学校の旅行の「民泊」って何するの?
「民泊」というのはその名の通り、ホテルや旅館などでなく、一般の民家に宿泊すること。最近、ビジネスモデルとしても確立されつつありますよね。
学校行事の民泊では、地方や観光地の一般家庭に泊まりつつ、田植えや農作物の収穫などの農業体験や、民芸品の制作体験などを通し、その土地ならではの文化や風習に触れるというのが多いようです。
実際にうちの長男が体験した内容な次のようなものでした。
田植え
学年全体で水田を借り、子どもたち全員で田植え体験をします。植えた苗は農家の方が引き続きお世話をし、秋になると収穫したお米を学校に送ってくれます。
よくテレビドラマなどで、「慣れない都会人が田植えをして、泥だらけになる」というのやってますが、実際はそんなにドロドロにはならなかったようです。
田植え用に着古したTシャツを持たせましたが、「本当に田植えしたの?」って思うほど、きれいな状態で戻ってきましたし…。
作業時間も炎天下の中、数時間ガチでやる!というのではなく、一人あたり十数本、苗を植えるだけという軽いもののようでした。それでも1学年全員が田植え体験するので、それなりの時間は必要なようでしたが…。
農作業
各グループごとに分かれ、民泊先にて農作業を行います。農家によって、果物・野菜・穀物など生産しているものが異なるため、班によって作業も変わってきます。
一時期、家庭菜園でほんの数時間の作業で泥だらけになった私、頭の中では、
- 汗だくで畑仕事
- 泥で手足、ドロドロ
- 鍬(くわ)を持って農地開墾
みたいながっつり農作業をイメージしていました(体力ある中学生だしね)。
しかし、実際はこうしたヘビーな農作業ではなく、
- 雑草を抜く
- 野菜や果物の収穫
- 不要な葉っぱを取る(間引きとか)
…のような軽い作業が主だったようです。
うちの長男がお世話になったのは、ブロッコリーとラディッシュが収穫の時期を迎えた農家でした。畑で収穫をし、プラスチックの箱に入れて納屋に運ぶという作業をしていたそう。
まだそれほど暑い時期ではなかったですが、農家の方はこまめに水分補給の声をかけてくれたり、疲れていないか聞いてくれたりと気配りしてくれたようです。
家のお手伝い
普段の生活の中にも、その土地の文化や風習に触れるチャンスはたくさんありますよね。
そのため、「部屋の布団の上げ下ろし、食事作り、配ぜん、掃除などのお手伝いも積極的にしましょう!」と、旅行のしおりには書かれていました。
私も「お世話になるんだから、しっかりお手伝いしなさいよ!」と言って送り出したのですが、実際はそれほど多くのお手伝いをお願いされることはなかったようです。
「お手伝いしましょうか?」と聞いても、「大丈夫よ~、座ってテレビ見ていてね」と言われることもあったとか。
確かに家事の中には、「お手伝い頼むより、自分でやった方が早い!」って思うことありますもんね…。
公園遊びなどのお楽しみも
受け入れ先のご主人は、農作業を教えてくれただけでなく、近くのアスレチックや公園、川、名所などに連れていってくれたそうです。
3日間の民泊の間、がちがちに農作業体験をするのではなく、こうした遊びや息抜きの時間も作ってくれたので、それなりに楽しめたようです。
民泊はどんな家に泊まるの?
宿泊するのは一般の農家の民家です。
時々、地方の農村の風景をテレビなどで見かけることがありますが、一軒一軒がものすごく大きいですよね。
長男がお世話になった農家の家庭も、広い庭があり、バーベキューなどができるテーブルやテラスなどもあったそう。
宿泊する部屋も、基本的に空いている部屋を活用しているのですが、
「じゃ、その空いてる部屋をとりあえず使ってね」というテキトー感はなかったと長男。
宿泊のために部屋はきれいに整えられており、冷暖房も完備。布団もふかふかで「家の布団より全然いい」と言っていました。
そうそう、テレビも部屋に備え付けてあり、自由に見ることができたそうですよ(小銭を入れる必要なし!)。
ほかの受け入れ先の中には、部屋に小型の冷蔵庫を設置してあるところもあり、子どもたちは自由に飲むことができたようです。
民家に泊まる、というと、私の場合ですが、TV番組「田舎に泊まろう!」のイメージがあったんですよね。どんなイメージかというと…
- 部屋の中には洗濯物が干しっぱなし
- 物が片付いてない
- お風呂から出たお父さんがパンツ一丁で現れる
- 洗面所にお爺さんの入れ歯が出しっぱなし
などなど。
いろんなハプニングもあり、それが面白さでもあったのですが、でもそれが実際の学校の旅行だったらどうなのよ!?と。
でも、実際はお部屋も家もきれいに掃除は行き届いており、「グダグダな生活感溢れる中に放り込まれる」というのではなかったそう。
プライベートの空間はしっかりと確保してくれたので、班の友達ともゆっくり過ごせたそうです。
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考えてみれば、地域として子どもたちを受け入れているのだから、そのへんはしっかりしているはずですよね。
民泊、お風呂はどうするの?
トイレや洗面所、お風呂は、受け入れ先の家族と共用です。でも、これまで面識のなかった家族とお風呂を共有するというのに抵抗を感じる子どもも多いと思います。
うちの長男の場合、お風呂は受け入れ先のご主人が、近くの銭湯まで連れて行ってくれました。
長男以外のグループも、自宅のお風呂ではなく、銭湯を利用するケースが多かったようです。入浴後にはスポーツドリンクなどを用意してくれたそうで、もう、いたれりつくせり!入浴のお金は特に請求されませんでしたよ。
トイレは、うちの長男の場合は家族との共用でしたが、中には家族とは別に子どもたち専用のものが用意されていたという話もありました。
思うに、デリケートな年齢であるということは受け入れ先もちゃんとわかっているんですよね。
女の子は特にお風呂やトイレなど不安いっぱいだと思いますが、それなりの配慮がされているような印象を受けました。
民泊の食事はどんなものが出るの?
民泊は一般家庭で提供される食事を、民泊先の家族とともに食べるというスタイルです。
そのため、長男は出発するまで、「旅行」という特別感が全然感じられないと言っていました。長男のイメージの中では…
・サザエさん一家みたいな家族構成の人たちに囲まれながら
・野菜の煮つけやきんぴらごぼうと漬物(祖父母の食卓のイメージ。息子は野菜の煮つけが苦手です^^;)
・千切りキャベツとコロッケ(私の食事のイメージ^^;)
・生野菜いっぱい(農家だから)
……というのが出来上がっていたそうです。
ところが、この想像に反し、受け入れ先の食卓の雰囲気はとても良くて、食事がとても美味しかったそう。
朝食は広い庭が見渡せるテラスで、その日の朝、採れたばかりの野菜をや果物をたっぷり使った料理。そのほか、卵料理やベーコンなど。
女の子の班では、焼きたてパンに手作りジャム、卵料理など、きれいなビジュアルで、カフェやペンション顔負けの朝食もあったとか。
夕食は、外のテラスではなく母屋の広間で。
鶏のから揚げやしょうが焼きといった誰もが好むスタンダードなもののほか、地元の名産品を現代風にアレンジしたもの、野菜のおいしさを知っている農家ならではの野菜料理、旬のフルーツなどがテーブルの所せましと並び、食べきれないほどだったと長男は話します。
長男は「野菜のディップ」なんて料理のレシピを覚えてきて、帰宅後すぐに家で作ってくれましたよ。
好き嫌いが多い子どもの場合、受け入れ先で食事が食べられるか不安だと思います。うちの長男の場合、民泊初日に、ご主人から「苦手な食べ物はないか?」と事前に食事の内容について聞いてくれたそうです。
すべての受け入れ先がこのような対応ではないと思いますが、もしかしたら「子どもの好き嫌い」にもできる範囲で応じてくれるかもしれません。
また、気になるのが食事面の衛生管理。調理師など専門の資格を持っていない一般家庭だけど大丈夫?と思う人もいるかもしれませんが、受け入れ先は事前にしっかり衛生管理について指導されるようです。
長男は配ぜんの手伝いのために台所にも入らせてもらったようですが、さすがに何年も民泊に関わってきているお宅だけに、ピシッと整理整頓されていたそうなんですね。
「うちの台所と全然違う。お母さん、きれいにしなよ」と言われ、なんとも複雑な気持ちです^^;
民泊終了後、ほかのママとも話をしましたが、「食事がおいしくなかった」という話はありませんでした。
女の子が喜びそうな料理、男子好みのガッツリメニューなどもあったそうで、たぶん、各受け入れ先の間で「こんな料理が好評だったよ」などの情報交換などもしているのではないでしょうか。
民泊の宿泊費は?お小遣いは?
民泊の旅行代は約4万円(2泊3日)。宿泊費、神奈川から東北の農村までの貸切バス代、2泊3日分の食事が全部付いています。
最初、民泊と言われたとき、「旅行費を節約するためでは?」なんて思いました。しかし、民泊ではなく、ペンションに泊まった娘の研修旅行費も両方とも約4万円。民泊でもペンション泊でも、それほど差はありませんでした。
お小遣いは5000円。でも正直多すぎない?って個人的に思いましたね。自由時間は多少あるにせよ、主な3日間の活動は農作業体験。食事は付いているし、テーマパークのチケット代やタクシー代が必要なわけでもないし…。
長男が帰宅後、お金の使い道について聞いたら、その多くはお土産代に消えていました。
何しろ、スケジュール的に寄るところといったら、お土産屋さんくらい。つまり、そこしか使うところがないんですよね。
だいたいの主な使い道ですが
- ソフトクリーム 350円
- ジュース2本 300円
- お土産 自宅用 1000円
- 祖父母宅(2つ) 2000円
- 自分用にキーホルダー 800円
- 部活のメンバーへのお土産代 300円
合計 4750円
「こんなに使わせたくないなー」と思う場合は、「お土産は買わなくていいよ」など事前に伝えるといいかもしれないですね。
民泊先でトラブルがおきたら?
子どもたちだけで民家に泊まるのは大丈夫なの?って思いますよね。
ネットで調べると、子どもがなかなか夜寝ないで騒いだり、夜に内緒で家を抜け出した…という話もあり、私も心配していました。
でも、意外と子どもたちは「受け入れ先に迷惑だから」と、それなりに慎重に行動していたようです。長男の学年ではトラブルの話は聞かれませんでした。
それでもやっぱり「何かあったら」と心配ですよね。基本的に受け入れ先には子どもたちだけで泊まりますが、万が一のときは、すぐに先生たちが駆け付ける体制になっているようです。
受け入れ先に挨拶の手土産は必要?
親としては、お世話になる受け入れ先のご家庭に、挨拶として手土産が必要なのでは?と思いますよね。
結果としてはうちは持参しませんでした。周囲に聞いても、用意したという話は聞かなかったです。
中学生くらいの多感な時期は「持って行った」「持って行かなかった」で、面倒なことになりそう。グループ皆でお金を出し合って手土産を用意しよう!という話になったら、グループ内で金銭のやりとりも発生するでしょうし、それがトラブルの原因になる可能性もありますよね。
親の間で「お世話になるのだから持参するべき」「持参しなくていいのでは?」と意見が分かれた場合は、一度学校に確認しておくといいかもしれません。
民泊のメリット・デメリットは?
長男の民泊体験を聞いた上で、親として私が感じたメリット・デメリットを記しておこうと思います
メリット
・これまで経験したことのない経験ができる
農作業や田植えなど、これまで未経験だった体験ができたこと。実施にはたいした作業量ではないですが、3日間という長い間、農家で過ごす体験ができたのはよかったと思います。
うちは私・夫とも実家が県内。実家の家屋も小さめなので、地方の広々とした農家の家に泊まるのも初めて。これもいい経験になったようです。
・予想以上のいたれりつくせり対応
帰宅してびっくりしたのは、持たせた洋服がすごくきれいな状態だったこと。
農作業をするというので、かなり汚れてくると思っていたのですが、作業自体がそれほど過酷でないのに加え、受け入れ先がなんと洗濯までしてくれたんです。
食事の好みを聞いてくれたり、銭湯や遊びにも連れ出してくれたりと、丁重なおもてなしぶりは予想以上でした。受け入れ先の農家の方には本当に感謝です。
デメリット
うちのような田舎がない家の場合は新鮮に感じられる農作業ですが、小さなころから野菜作りやガーデニングなど、土に親しんでいる子どもの場合は「ああ、農作業か…」と退屈に感じるかもしれません。
また、私は出発する前まで、もっとガッツリと農作業に取り組むのかと思っていました。しかし実際に行った作業は「農作業の真似事」といっていいような軽いもの。
「泥だらけになって自身と向き合う経験」などを期待している場合は、ちょっと期待外れかも!?
まとめ
どんな家に泊まるのか、どんな体験ができるのかなどのまとめです。
- 農作業体験ができるが、あまりヘビーなものではなかった
- 泊まる家は民家だが、掃除も行き届いていて快適に過ごせる
- 食事もおいしい。衛生管理もしっかりしている
- 旅行費用は約4万円、お小遣いは5000円
- お手伝いは必要最低限
子どもも不安だと思いますが、送り出す親も心配なことが多い「民泊」。
「知らない人の家に泊まるなんて…」という不安な気持ちもあると思いますが、自治体として子どもたちを受け入れ、地域を活性化させようという考えがある以上、生半可な気持ちで子どもを預かっているわけではないと思います。
戻ってきた子どもの話を聞いても、管理指導が行き届いていると感じました。
ただし、受け入れる自治体やその取り組み方針によって、若干、うちのケースと異なる場合があるかもしれません。心配な場合、事前に行われる学校の旅行説明会などで質問してみるのがおすすめです^^
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