子どもも大人も大好きなカレー。おかわり必至のメニューなのでたっぷり作ったのに、「あれれ?案外いっぱい残っちゃったな」なんてこともあるはず。
学校の給食とメニューがかぶっちゃったりとかね
でも、カレーは寝かせるとおいしいと言うし、お鍋のまま寝かせておこうと考える人もいるのでは? でも実はこの「鍋のまま放置」は、食中毒の原因にもなってしまうというから要注意!今回の記事では
- カレーを鍋ごと放置はなぜ危険?
- 何時間くらいなら大丈夫なの?
- 残ってしまったカレーを安全に保存するには?
- 傷んでしまったカレーの見分け方
- カレー弁当や作り置きカレーはどうしたらいい?
についてまとめました。いつもたっぷりカレーを仕込む方は、参考にしてみてくださいね。
Contents
そもそもなぜ常温に置いたカレーが危険なの?
常温に置いておいたカレーが危険と言われるのは、「食中毒のリスクがある」から。
ん?カレーって加熱調理でしょ?雑菌は熱でいなくならないの?
カレーのスパイスも菌の繁殖を防ぎそうなイメージ
カレーと食中毒って、あまり結びつかないイメージですよね。
そんなカレーの食中毒の原因のひとつとされているのが「ウェルシュ菌」。ウェルシュ菌は、土壌や水の中、健康な人や動物の腸内など自然界に幅広く生息している細菌です。特に肉類や魚介類は保菌している可能性が大。
土の中にも生息している菌なので、じゃがいもやにんじんなど、カレーに使われる野菜にも付着している可能性も。そのような食材を使うことで、できあがったカレーの中にウェルシュ菌が入ってしまうんです。
ウェルシュ菌は加熱されている段階で死んでしまわないの?
このウェルシュ菌、菌の状態では熱に弱いのですが、”芽胞”を作り休眠状態になってしまうとこれが厄介。芽胞は熱に強く、100℃という高熱で6時間加熱しても死なないという特性を持っています。ウェルシュ菌にとって都合のいい20~50℃程度にまで下がると、休眠から目覚めて発芽。短時間でも食中毒を起こしてしまうほど増殖してしまいます。
「加熱すれば安心」というのが通用しないのが怖いところね
また、ウェルシュ菌は酸素が嫌いという特性も持っています。大鍋にたっぷり作り、ふたをしてしまえば、空気に触れない中心部でぐんぐん増殖してしまうことも……。特に寸胴鍋など底までかき混ぜにくいお鍋で作る場合は、知らぬ間に鍋底でウェルシュ菌が増えてしまっている場合もあるのです。
また、カレーはとろみがあるので、なかなか冷めにくいという特徴もありますね。実はこれもウェルシュ菌にとっては好都合。菌が繁殖しやすい温度(20~50℃程度)が長時間保たれると、爆発的に増えてしまう可能性もあります。
何時間くらいなら常温放置でも大丈夫なの?
短時間でも食中毒が起きる可能性があるとはわかりましたが、どのくらいの時間なら大丈夫なのでしょうか。
ウェルシュ菌による食中毒は、1g当たり10万個以上含まれる食品を食べると発生すると言われているそう。ある実験では、カレー4人分を1時間室温に置き、鍋の中心部がウェルシュ菌が好む温度(45℃)になった時に菌を投与して放置。温度30℃、温度4度の状態に置いて、その後の菌の増殖スピードについて調べました。
その結果、30℃に置いておいたカレーは、6時間後にはウェルシュ菌が食中毒を発生するレベルである10万個に達することが明らかに。
6時間!たった半日で!?
その後、9時間後には100万個、24時間後には1,000万個にまで増加することがわかりました。一方、4℃に置いておいたカレーは、12時間経過時、24時間経過時も1万個以下に留まっています。
もともとのウェルシュ菌がどのくらいカレーに含まれていたかにもよって数値は変わってくると思いますが、夏場はこの「6時間」をひとつの目安として考えてもよさそうです。とはいえ、中には「夏のカレーが2時間で傷んでしまった」というケースもあるようなので、作ったら早く食べきる、あるいは適切な方法で2時間以内に保存すると安心ですね。
室温4℃ほどの冬の場合は翌日までが目安。ただ、ウェルシュ菌は12℃~50℃と広範囲の温度域で増殖するので、温度が高くなりがちなコンロまわりや温かい部屋で保存するときは注意が必要かも。翌日まで食べきれないと判断したら、早めに冷蔵・冷凍で保存するようにしましょう。
作ったカレーの保存方法
せっかく作ったカレーなのだから、安心して食べられるような方法で保存したいもの。続いては、ウェルシュ菌の増殖を抑える保存方法について紹介していきます。
カレーは冷水や氷などで急激に冷やす
ウェルシュ菌が大好きな温度(45℃前後)が長く保たれると、それだけ菌の増殖ペースは速くなります。菌の活動が低下する温度まで、カレーを素早く冷やします。
まずはカレー鍋が入るフライパンなど大きめの鍋に氷や保冷剤を入れ、カレーの粗熱を取ります。カレーはかき混ぜながら冷やし、鍋底の方にもウェルシュ菌が苦手な空気を行き渡らせます。粗熱が取れたら、冷蔵庫に入れて冷やします。
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カレーは温かい鍋のまま冷蔵庫に入れない
面倒だからと鍋ごと温かいまま冷蔵庫に入れるのはNG。冷蔵庫の温度が急激に上がり、他の食材が傷む原因にもなります。
小分け保存で食中毒のリスクを減らす
翌日以降に食べる予定であるなら、保存容器やファスナー付きの袋などに入れて小分け保存すると便利です。冷蔵で2~3日で食べきるようにしますが、それでも食べきれない場合は、冷凍保存がおすすめです。
お弁当にカレーは? 夕食用に作り置きするのはNG?
夕方に用事がある日、夕食用に作り置きメニューを早めに作っておくという人も多いのでは?そんな時にカレーはとても便利なメニューですが、「夏場は半日で傷んでしまう」というのを知ると、気軽に作れなくなりますね……。
夕食用にカレーを作り置きしておく場合の注意点はこちら
- 夏の場合、食べるまでの時間が5時間以上開いているなら、カレーを急冷して冷蔵庫保存する
- 冬の場合、室温が10℃以下ならそのまま置いても大丈夫と思われる。しかし、暖房が入る場所で保存するなら、安全のために急冷して冷蔵庫保存。
カレーのほか、シチューや肉じゃが、ミートソース、おでんなども注意!
お弁当のおかずにカレーを持たせるのは避けましょう。特に暑い夏は、菌が増殖する温度が保たれやすく、食中毒のリスクが高まります。冬も現在は会社も学校も気密性が高く暖房も効いているため、予想以上にお弁当も高い温度で保存されがち。
どうしてもカレーが食べたい!という時は、お弁当用のレトルトカレーが販売されているので、それを使うのもおすすめですよ。
傷んだカレーの見分け方
菌がまだ繁殖しない時間と思われたのに、色や香りがなんだかいつものカレーとちょっと様子が違う。そう感じたときは、要注意!傷んだカレーの特徴としては、以下のようなものがあります
- 表面に白い膜が張っている
- 綿あめのような白いフワフワしたものがある
- カレーのものではない「とろみ」がある
- 納豆のようなにおいがする
- えぐみ、酸味、埃臭さがある
白い膜やフワフワ、とろみ、風味や味の変化はカレーが変質した証拠。「たくさん残ってるのにもったいない。白い膜やフワフワは取り除いて食べられないかな」と思うかもしれませんが、カレー自体に毒素が残っているので、加熱しても食べられません。
気温や湿度、保存していた状態によって変質の度合いも変わってきます。夏場のカレーなら5時間以内、冬なら1日以内が食中毒のリスクが少ないと前項でも紹介しましたが、時間はあくまでも目安。
ちょっと風味がおかしいのに、「まだ作って3時間しか経っていないから大丈夫」と時間で判断せず、安全のため食べるのはやめる勇気が必要です。
腐ったカレーを食べたらどうなる?
傷んでしまったカレーを食べたらどうなるのでしょうか。ウェルシュ菌の場合、潜伏期間は6時間~18時間。多くは約10時間程度で症状が出るようです。
夕食に傷んだカレーを食べたら、就寝中に腹痛が発生……ということかな?
症状は、腹部膨満感や腹痛、下痢が主なもので、嘔吐や発熱といった症状はほとんど出ることはありません。症状は軽いことがほとんどで、1~2日で回復することが多いそうですよ!
まとめ
カレーは手軽に作れる人気メニューですが、長時間そのままコンロの上に置いておくのは危険。ざっくりまとめると
- 気温30℃の夏であれば、6時間すぎたらウェルシュ菌の食中毒の可能性あり
- 冬なら1日常温で保存も可能だが、暖房やコンロ近くの熱には要注意
- カレーは急冷して冷蔵庫にスピード保存
- 傷んだカレーは、白い膜が張ったり、味やにおいに変化がある
- ウェルシュ菌の潜伏期間は6時間~18時間。腹痛・下痢が主な症状
大きな鍋で作る料理は、カレー以外でも注意が必要。面倒でも時間が空くときは、冷蔵保存すると安心ですね。
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