慌ただしい朝、着替えるときに間違って、旦那のシャツに袖を通してしまったkerokoです。
レディースものは身頃の右側にボタンホールが付いているものですが、メンズ用はその反対なんですよね。指が違和感を感じて気づきました。これまでもたびたび同じ間違いをしてきましたが、懲りない私です^^;
そこでハタと思いました。「なぜ、シャツのボタンは男女で付いている位置が逆なのだ?」と。
男女逆にボタンをつけることで、何かメリットがあるのでしょうか? このボタンの位置は、シャツが開発されたときから変わっていない?
調べると、なかなか面白い事実が判明しましたのでシェアしますね。
Contents
シャツのボタン、男物と女物ではこう違う!
まず最初に、男女それぞれのシャツの違いを見てみましょう。
下の画像が男性用です。シャツを着ると、身頃の左側にボタンホールがあり、右側にボタンが付いています。
イメージとしては、右手でボタンをつまみ、身頃左側のボタンホールに通す感じですね。
続いて女性用です。男性用とはボタン・ボタンホールの位置が逆。シャツを着ると、身頃の左側にボタンがあり、右側にボタンホールがあります。左手でボタンをつまんで、右側のボタンホールに押し込んで留めます。
ちなみに、男性用は右側の襟が下にきて、左側の襟が上にくる「右前」、女性用はその反対で、左側の襟が下に着て、右側の襟が上にくる「左前」とも言われます。
・レディース→身頃の右側にボタンホールがあり、左側にボタン
シャツのボタンが男女で逆なのはなぜ?
男性用・女性用でそれぞれ違ったボタンの位置。ではさっそく、シャツのボタンの位置が男女で違う理由について紹介していきますよ~。
調べたところ、次のような説があることがわかりました。
- 【女性】「昔の貴族の女性は服を召使いに着せてもらっていたから」説
- 【女性】「授乳しやすいように、左側にボタンを付けた」説
- 【女性】「女性が馬に乗ったときに服がはだけないように」説
- 【男性】「戦いのときに、剣を抜きやすくするため」説
- 【男性】「戦いのときに、銃を取り出しやすくするため」説
- 【男性】「男性は一人で服を着ていたから」説
…何だか、ものすごくたくさんの説があるんですね。
では、一つひとつ説明していきます。
・【女性】昔の貴族の女性は服を召使いに着せてもらっていたから説
まず最初は、「昔の貴族の女性は服を召使いに着せてもらっていたから」説という説です。その前に、ボタンの歴史を紹介したいと思います。
服にボタンをつける。今でこそ当たり前ですが、このように服にボタンをつけるようになったのは、13世紀くらいのヨーロッパからなのだそう。
13世紀っていうと……日本じゃ鎌倉時代で、チンギス・ハンがヨーロッパまで遠征してた頃です。しかもボタンは、王族や貴族など、裕福な身分の人だけが使っていたようですよ。
ボタンは、身分の高い人の間では、宝飾品のような美しい細工のものが流行したそう。金・銀などの貴金属を使ったものだけでなく、宝石やパールも付けたりしたそうです。
当時はボタンホールはなく、ボタンはドレスのさまざまな場所に飾っていたとのこと。
どうやら、当時のボタンは今のように「着脱のしやすさ」を追求したアイテムではなく、ジュエリーのような存在だったのかも。
中には、フロントだけで30個以上も、美しいボタンをちりばめた華麗なドレスを着る女性もいたそうです。
こうしたキラキラとしたきれいなボタンをつけたドレスを、当時の貴族の女性たちは、召使いに着せてもらっていました。
そのため右利きの召使いが、ドレスを対面から見てボタンを留めやすいように、左身頃にボタンが付けられるようになったという説があります。
確かに、一個一個さまざまな装飾が施されたボタンは、凹凸もあって留めにくそう。召使いがスピーディにお付きの女性を着替えさせるために、左側にボタンを付けたというのはあり得そうですね。
■おまけ情報
装飾品のような美しいボタン。そのため、当時は「服にボタンを付けている」というのは、一種のステータスだったそう。今のように「え?ボタンが取れた?じゃ、100均に買いに行こう!」っていうのとは大違いですね。
ボタンが一般にも広がったのは、18~19世紀の産業革命のころ。大量生産が可能になり、市民もシャツやジャケットなどにボタンをつけるようになったのだとか。日本に入ってきたのは明治初期だというので、まだ150年くらいしか経ってないんですね。
【女性】「授乳しやすいように、左側にボタンを付けた」説
女性が赤ちゃんに授乳する際は、利き手とは反対の左側で赤ちゃんを抱っこすることが多いですよね。こうすることで、利き手が自由になり、授乳しやすくなります。
赤ちゃんがいる女性がドレスを着たとき、授乳時に利き手である右手でボタンを外しやすいように、左側にボタンをつけるようになった、という説もあります。
【女性】「女性が馬に乗ったときに服がはだけないように」説
昔の女性は馬に乗るとき、馬の左側に両足を垂らし、横に座る人が多かったそうです。
こうした体勢で乗ると、ボタンが右側についているとすると、前から風が吹いてきた場合、すき間から服の中に風が入りこんできてしまいます。
空気が入ってきて、胸元がはだけないように、ボタンを左側に付けたという説もあります。
【男性】「戦いのときに、剣を抜きやすくするため」説
続いて男性側の説です。
男性用の服装は、兵士や軍隊が影響していることが多いのだそう。ボタンの歴史を遡ってみると、紀元前のローマでは、兵士の甲冑にボタン風の留め具が使われていたそうですよ。
戦うときも、人間の多くは右利きというだけあって、剣も利き手側からの方が取りやすいですよね。そのため、剣は体の左腰に携行している人が多かったそうです。
ボタンが左側だと、剣を抜くとき手が引っかかってしまう可能性もあるので、ボタンを右側にしたという説です。
【男性】「戦いのときに、銃を取り出しやすくするため」説
これも「剣」と同じ理由です。胸元に携帯しておいた銃を戦いで取り出すとき、ボタンが右側に付いている方が取り出しやすかったという説です。
【男性】「男性は一人で服を着ていたから」説
そもそも男性は召使いに着替えさせてもらうのではなく、服は自分で着る人のほうが多かったそうです。
そのため、自分が着替えるとき、ボタンは留め外ししやすい右側に付けるという形が広まったのではないか、とも言われています。
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いろいろな説を紹介しましたが、「昔の貴族の女性は服を召使いに着せてもらっていたから、女性のボタンは左側につける」というものが広く知られているようですね。
いつから「ボタンは男物は右、女物は左」が定着した?
13世紀のヨーロッパの頃からの話をしてきましたが、21世紀の今、気の遠くなるほど昔の話ですよね。今のように「ボタンは男物は右、女物は左」としっかり定着したのはいつ頃なのでしょうか?
それを調べるために、18世紀ころに描かれた肖像画などを見てみたところ、面白いことを発見しました。
ナポレオン(1769年~1821年)の肖像画を見ると、身頃の右にボタンが付いてるのもあれば、左側についてるものもあるんですよ。
例えば…
- 「フォンテーヌブローでのナポレオン(1845年)」
ボタンが右についてます。 - Premier Consul Bonaparte (detail)(1802年)
ボタンが付いているのは左です。
もしかしたら…ですが、今のようにそれほどがっちり、男女でボタンの位置は違っていなかったのかもしれません。
現在のようにはっきりと違うと明記されているのは、18世紀末に発行された「服の仕立て教本」という本だそう。その後、1892年に創刊されたアメリカのファッション雑誌「ヴォーグ」で完全に定着したとされています。
また、1880年代には、男性のような服が女性の間で大流行。ところが、法律では女性が男性のような姿をするのは禁止されていたのだそう。
でも、そこで女性の強い味方になったのが「ボタンが付いている位置」なんです。
男性のような恰好をしていても、「ボタンが身頃の左についている」というシャツを着ることで、女性の服を着ていると弁明できたのだとか。
「ホラッ!私が着ているのは左前!『ヴォーグ』でも女性は左前だと言ってるでしょ!だからこの服は女性用!」…っていうやりとりが想像できます^^
男女兼用のシャツはどちらにボタンが付いている?
ところ変わって現在、男女兼用のシャツも販売されるようになりました。こうしたユニセックスのシャツは、右前・左前のどちらなのでしょうか?
楽天広場で販売されている男女兼用のシャツを見てみると……。このショップで販売されているシャツは、ボタンの位置は右(男性仕様)ですね。
※画像をクリックすると楽天の商品ページに飛びます
これなんかは、左前なのでレディース用ですが、オシャレな男の人が着ても様になりそう。
※画像をクリックすると楽天の商品ページに飛びます
ユニクロのシャツは、シンプルで男女問わず着ることができるデザインのものが多いですよね。あえて男女兼用とはしていないものの、体形が大きめの女性は、ユニクロのメンズシャツを着る人もいるのだとか。
小柄で華奢な男性の中には、レディース用のシャツを着用する人もいるようですよ。
ただ、男女問わないように見えても、レディース用の場合、ウエスト部分がシェイプされているデザインのものもあります。
男性が着る場合、ウエストがメンズ物と同様、フラットな方が着こなしやすいかもしれません。
女性がメンズ用、男性がレディース用を着るのはアリ?
男女兼用のシャツや、メンズ仕立てのレディース物、レディース仕立てのメンズ物もある現在、男性がレディース用、女性がメンズ用を着ても、まったく問題はないような気がします。
体形の問題云々よりも、かわいい色のシャツを着たい男性だっているだろうし、ダボっとしたシャツを小柄な女性が着こなすのもかわいいですよね。
口コミなどを見ると、
- 人のシャツのボタンの位置なんていちいち気にしてない
- いつもメンズのシャツを着ているが、何か言われたことなど一度もない
- 女性がメンズものをうまく着こなすのは格好いいと思うけど?
といったものがありました。確かに、気に入ったシャツを「あ、左前(または右前)だからダメか…」とあきらめてしまうのは、もったいない気がします。
でも、中には
- 好きな人(男性)が、レディース用のシャツ着てたら引くなー
- カジュアルな場ではいいけど、仕事の場ではやっぱり性別と合った服を着てほしい
といった意見もありました。
仕事や冠婚葬祭などの場では、性別に合っていないシャツは避けたほうがいいかもしれません。
男性・女性のシャツの見分け方
買ったときは気づかなくても、家に帰って着ようと思ったときに「あれ!ボタンの位置が逆!」と思うことはないでしょうか?
…私はあります。
また、子どもが同じくらいの年齢で、性別が違うきょうだいの場合、白いスクールシャツなどは、どっちがどっちのシャツなのかわからず混乱することはないでしょうか?
…私はあります。
そんなときのために、すぐ見てわかる見分け方をご紹介しましょう!
対面で見て、左側にボタンが付いているものが「男性用(メンズ)」です。
なかなか見ただけでは覚えにくいんですが、
「左側(HidariだからHと覚える)ボタンは、He(彼=男性)」
と覚えると、忘れにくいですよ!女性用はその反対なので、男性用のボタンの位置だけ覚えておけばバッチリです^^
まとめ
ボタンの位置のルーツが、中世のヨーロッパにあったとは驚きですね。上流階級ならではの文化や武器の携帯など、今とは全く違う習慣がルーツになっていて、これが現在までつながっているようです。
とはいえ、今は男女兼用のシャツも販売されているし、「男物だから」「女物だから」なんて関係なく、男女問わず好きなデザインの服を着る時代。
もしかしたら数十年後、「えっ?シャツに男女の差なんてあったの?」なんて言われるかもしれませんね。
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