うまみ調味料といったら「味の素」が有名ですよね。でも同じ陳列棚に「ハイミー」「いの一番」という商品も出ていて、「何が違うのかな?」と思ったことはないでしょうか。
そこで今回は、「味の素」「ハイミー」「いの一番」の違いについて調査!
- 成分や価格、メーカー、歴史の違い
- 見た目の違い
- 味の違い
- 向いている料理は?
- 購入するなら「味の素」「ハイミー」「いの一番」どれがいい?
についてまとめています。味比べするために、お湯に溶かして飲んでみたり、いろいろな料理を作ってみたりもしましたよ。
「一体、何が違うの?」と思った方は、参考にしてみてくださいね。
Contents
味の素・ハイミー・いの一番の違いをグラフにしてみた
結論から言うと、味の素もハイミーもいの一番も、その成分の9割はおなじ。
じゃ、何が違うのかというのについて、わかりやすく表にしてみました。
味の素 | ハイミー | いの一番 | |
---|---|---|---|
メーカー | 味の素 | 味の素 | 三菱商事ライフサイエンス |
価格(1Kg) | 1280円 | 2150円 | 1770円 |
発売年 | 1909年(明治42年) | 1962年(昭和37年) | 1961年(昭和36年) |
成分 | グルタミン酸ナトリウム:97.5% イノシン酸ナトリウム:1.25% グアニル酸ナトリウム:1.25% | グルタミン酸ナトリウム:92% イノシン酸ナトリウム:4% グアニル酸ナトリウム:4% | グルタミン酸ナトリウム:92% イノシン酸ナトリウム+グアニル酸ナトリウム:8% (リボヌクレオタイドナトリウム:8%) |
向いている料理 | チャーハン・卵かけご飯・釜玉うどん・炒め物・お浸しなど | ラーメンスープ・煮物・チャーハン・すまし汁・マリネ | 鍋もの・煮物・中華料理・肉料理の下ごしらえ |
詳しく下で紹介していきますね。
パッケージの違い
味の素・ハイミー・いの一番のパッケージはこちら。味の素とハイミーはプラ容器入りのものもありますが、紙製のパッケージに入っているものもあります。いの一番はプラのパッケージ入りです。
いの一番は、ちょっと書体がレトロだね
販売しているメーカー
味の素とハイミーは、味の素株式会社から販売。一方、いの一番は、三菱商事ライフサイエンスから販売されています。
「いの一番」は現在、三菱商事ライフサイエンスが発売していますが、もともとは1961年(昭和36年)に、武田薬品工業が発売した商品でした。しかしその後、
武田食品工業
↓
武田キリン食品
↓
キリンフードテック
↓
キリン協和フーズ
↓
MCフードスペシャリティーズ
…と販売会社が変わり、現在は三菱商事ライフサイエンスに落ち着いています。
販売会社は次々変わったけれど、「いの一番」の商品名はずっと変わらないのね
味の素・ハイミー・いの一番の歴史
かつては化学調味料とも呼ばれた「うまみ調味料」。化学という言葉の響きから、まだ歴史が浅いイメージがありましたが、実はとても歴史が古いんです。「味の素」の発売は、今を遡ることなんと110年以上前の1909年(明治42年)。
えっ!そんな昔から、うまみ調味料ってあったの!?
明治時代にはもう「味の素」が販売されていたんですね。近代史で重要なキーワードとなる「日露戦争」は1904年~1905年。それとほぼ同時期に味の素が販売されていたとは驚きです。
次に歴史が古いのは、「いの一番」(1961年/昭和36年)。その1年後に、「ハイミー」(1962年/昭和37年)が発売されます。味の素と比べると歴史は浅いですが、それでも60年以上も前に販売が開始されたロングセラー商品なんですね。
ハイミーという商品名は、うまみが高い「ハイ(high)」と「ミー(味)」から来ています
味の素・ハイミー・いの一番の成分の違い
3商品の成分は下記のとおり。
■味の素
■ハイミー
■いの一番
何だか難しい成分名が出てきて、調味料の説明なのに、まるで化学の授業みたいですね。それぞれの成分について説明してみましょう。
昆布、トマト、チーズなどに含まれるアミノ酸(うまみ成分)
■イノシン酸ナトリウム
かつお節のうま味の主成分
■グアニル酸ナトリウム
干ししいたけに含まれるうま味成分
■リボヌクレオタイドナトリウム
イノシン酸ナトリウムと、グアニル酸ナトリウムを配合したもの
冒頭でも説明しましたが、成分は3商品とも9割は同じグルタミン酸ナトリウム。昆布などのうまみ成分が主成分なんですね。
味の素とハイミーは、そのグルタミン酸ナトリウムに、かつお節に含まれるうま味成分「イノシン酸ナトリウム」と、干ししいたけに含まれるうま味成分「グアニル酸ナトリウム」をプラスしています。
つまり、味の素とハイミーの違いは、
「イノシン酸ナトリウム」「グアニル酸ナトリウム」が含まれる量
なんです。
いの一番に含まれている「リボヌクレオタイドナトリウム」は、イノシン酸ナトリウム(かつお節のうま味成分)とグアニル酸ナトリウム(干ししいたけのうま味成分)を配合したもの。
「ハイミー」「いの一番」は、味の素よりかつお節と干ししいたけのうまみ成分が4倍多く含まれているんですね。
・「ハイミー」「いの一番」は、「味の素」よりかつお節と干ししいたけのうまみ成分が多い
味の素・ハイミー・いの一番の原料は?
3商品とも、原料は「植物」です。
共通の主成分であるグルタミン酸ナトリウムは、さとうきびから作られる糖蜜を発酵させて作られます。そのほかの成分であるイノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウムの原料はでんぷん。
いの一番で使われるリボヌクレオチド二ナトリウムは、トウモロコシでんぷんなどを分解して得られたブドウ糖を使って作られています。
うまみ調味料が化学調味料と言われていた時代、「原料は石油」なんて言われていたことも……。実際に今から50年くらい前は石油由来の原料を使い、合成法という方法で作られていた時もあったそう!
石油から作られるというと体に悪そうなイメージがありますが、実は石油由来の原料を使ったものと植物から作られるものは、最終形態は全く同じものだそう。安全性にも、問題はないのだとか。
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とはいえ、石油から作られた食べ物って、イメージ的に体にいい感じはしませんよね。もちろん、現在作られている「味の素」「ハイミー」「いの一番」は、植物原料のみを使い、発酵技術を使って作られています。
味の素・ハイミー・いの一番の価格は?
2024年1月現在の3商品の価格(1Kg)は下記のとおり
- 味の素 1280円
- ハイミー 2150円
- いの一番 1770円
※味の素1Kgは業務用でしか販売されておらず、業務用はグルタミン酸ナトリウムの含有量が99%です。厳密には家庭用と業務用で若干の成分の差はありますが、価格としては比較しやすかったたたため、業務用で比べています。
最も安いのは「味の素」でした。次いで「いの一番」「ハイミー」となっています。かつお節としいたけのうまみ成分が少ない分、味の素が一番安いのかもしれません。
味の素とハイミーでは、価格が倍近く違うのね
成分や販売している会社、価格、向いている料理などがだいたいわかったところで、次は実際に3商品を手にとって、見た目や味を比較してみることにしました。
見た目はどう違う?
実際に3つの商品の見た目や味を比べてみましょう。
味の素・ハイミー・いの一番をそれぞれ容器から出してみたのがこちら。
味の素とハイミーは 細長い針のような結晶だね
いの一番は結晶状ではなく、粉薬みたいな顆粒状だよ
味の素とハイミーは、同じ会社から製造されているだけあって見た目は似てますね。ややハイミーの方が、結晶が長めです。
味はどう違う?
見た目は若干の違いはありましたが、気になるのはやっぱり味。どう違いがあるのでしょうか。
お湯に溶かして飲んでみれば、違いが一番よく分かるのでは?と、100㏄のお湯に、うまみ調味料を2振りほど入れて飲んでみました。ゴクッ。
……
……
……
う、うーん?
3商品ともなんとなーくうまみらしき風味は感じるものの、どれも非常~~~にぼんやりした味。味の素の公式サイトでは、「ハイミー」は味の素よりも、うま味の強さが2.5倍強いと書かれているだけあって、ハイミーやいの一番の方がうまみが強いような気がしますが、これも「言われないと分からない」レベル。
かつお節などの香りもないし、どれも「言われてみれば薄~い味が付いている感じがするお湯」です。
塩味もないので、全体的にぼんやりと感じられるのかも……
お湯に溶かしただけでは、はっきりした違いが判らなかった3つのうまみ調味料。そこで和洋中いろいろな料理に使って違いがあるか試してみました。そこでわかった「3つのうまみ調味料の違いがあまりわからない料理」「違いが感じられた料理」について紹介していきますね。
3つのうまみ調味料<あまり違いがわからない料理>
炒飯
卵とごはんを炒め、塩・こしょう・醤油で味付け。うまみ調味料で味を整えます。
食べ比べてみると……。うーん、3つのうま味調味料とも塩・こしょう・醤油で味付けした時よりもうまみは増しているのはわかるのですが、はっきりとした違いはあまり感じられませんでした。
もやし炒め
ごま油でもやしを炒めて、塩・こしょう・醤油で味付け。最後にうまみ調味料で味を整えます。
こちらも炒飯と同じで、3つのうまみ調味料との差はあまり感じられませんでした。
卵かけごはん
熱いごはんに溶き卵をかけて醤油をひとふり。仕上げにうまみ調味料をサッと振りかけます。
卵かけごはんといえば「味の素」というイメージが強いので、違いははっきりわかるのかと思ったのですが……。それほどハイミーといの一番との大きな違いは感じられませんでした。
3つのうまみ調味料<違いが感じられた料理>
味噌汁
みそ小さじ1杯に、「味の素」「ハイミー」「いの一番」をそれぞれ2ふり入れて、お湯を注ぎます。
おお!違う!
味の素は、うまみはしっかり感じますが、あっさりした味わい。例えるなら、単色の絵の具を使って仕上げた絵といった感じ。一方、「ハイミー」「いの一番」は、味の素よりわずかに複雑な味わいがします。絵で例えると、メインの色に違う色を2~3色加えて調整した感じですね。
ホワイトソース(グラタン)
バターで玉ねぎを炒め、小麦粉を振りかけてさらに炒め、牛乳を加えてとろみが出るまで加熱します。塩・こしょう・うまみ調味料で味を整えました。
おっ!これも何だか、ハイミーといの一番の方が、味がしっかり感じられます。気のせいかもしれませんが、一番和風っぽいネーミングの「いの一番」が最も相性がいいような感じがしました。
じゃがいもの煮物
じゃがいもと玉ねぎだけのシンプルな煮物。水・うまみ調味料・醤油・砂糖で煮てみました。
おお~!だし汁は使っていないのに、ちゃんとうまみが感じられます。うまみは、味の素より、ハイミーやいの一番の方が濃く感じられました。
味の素・ハイミー・いの一番の使い分け方
いくつか料理を作ってみてわかったこととしては、汁物系や煮物系はハイミー・いの一番と相性がいいこと。一方、サッと表面にかけて味を整える料理(炒めものなど)は、正直なところ、あまり違いが感じられなかったです。
なので、味の素・ハイミー・いの一番を使い分けるとしたら
- 炒めものはもちろん、汁物や煮物にも使いたい→ハイミー、いの一番
- 主に卵かけごはんや炒飯、炒め物に使いたい→味の素
味の素の方が価格が安いので、炒め物やちょっと味が足りないときに使いたいという場合は、味の素で十分だと思います。
かつおだしのうまみ成分が強いハイミーといの一番は、味噌汁やすまし汁を作るときに、顆粒だし(ほんだしなど)代わりとしても使えると思います
まとめ
「味の素」「ハイミー」「いの一番」。ざっくり違いをまとめると
- 価格が一番安いのは「味の素」、最も高いのは「ハイミー」
- 最も歴史が古いのは「味の素」
- 3商品の主成分は、昆布などのうまみ成分「グルタミン酸ナトリウム」
- ハイミー・いの一番は、かつお節やしいたけのうまみ成分が、味の素より多く含まれる
- ハイミーといの一番は汁物や煮物、炒め物などオールマイティーに使える
- 味の素は炒めものや卵かけごはんなどに向いている
作る料理や用途に応じて、使い分けてみてもいいですね。ハイミーは使いやすい小容量タイプも販売されているので、気になる場合お試し感覚で購入してみてもいいかも。
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