家で作った麦茶を飲もうと、容器からコップに入れたら……。あれっ!?容器の下に何か沈んでるものを発見!
こうした沈殿物のほか、時間を置いた麦茶には何かもやもやと浮かんでいるものもあったりします。
今回は、この麦茶に発生する「沈殿物」「浮遊物」について調べてみました。
- 麦茶の容器の下にたまる沈殿物とは?
- 飲んでも問題ない沈殿物
- 飲用に適さない沈殿物
- 麦茶に発生する「浮遊物」とは?
- 沈殿物や浮遊物の発生を防ぐには?
についてまとめています。麦茶の底に何か気になるものを発見したときは、参考にしてみてくださいね。
Contents
麦茶の沈殿物や浮遊物の正体とは?
今回、発見した沈殿物はこちら。
調べてみると、どうやら麦茶に発生する沈殿物・浮遊物には、「白っぽいもの」「黒っぽいもの」などいろいろな種類があることがわかりました。代表的なものを紹介していきますね。
サラサラした黒い沈殿物
底にたまる茶色い細かなサラサラした粉状のものは、麦茶の成分(焙煎した大麦の粉など)が沈んだものであることが多いです。この沈殿物の場合、作ってそれほど時間を置かず発生します。
麦茶パックを使ったものよりも、丸粒から煮出したものの方が、沈殿する量が多いようです。煮出している間に、お茶パックのすき間から丸粒の粉が出てしまうからかもしれませんね。
もやもやした白いもの
麦茶の中に、ふわふわと浮かんでいる白いもの。保存状態にもよりますが、作って数日経った麦茶に見られます。
これは、麦茶に含まれる栄養をもとに発生したカビや雑菌の可能性が大。空気に触れている麦茶表面にできた雑菌の膜やカビのふわふわが、麦茶の中に入り込み、ふわふわと液体の中に漂っていると考えられます。
同時に麦茶全体に濁りや香りの変化(酸っぱいにおい、土臭いにおいなど)もあるはず。
白っぽいつぶつぶ
麦茶パックや丸粒を煮出して作るとき、水の中に含まれるミネラル成分が白く固まり、白いつぶつぶとなって麦茶の中に出てしまう場合もあります。
同じ白い浮遊物でも、雑菌やカビのようにふわふわ・もやもやしておらず、はっきりと見えやすいことが多いです。
黒いつぶつぶ
揺らすと心なしか粘度が感じられ、輪郭がはっきりしていない黒いつぶつぶ。
容器の下に沈んでいることもあれば、容器の側面に付いていたり、麦茶の中に浮遊していることもあります。これは麦茶に発生した黒いカビ。保存状態にもよりますが、作って数日後から発生します。
同時に麦茶全体に濁りや香りの変化(酸っぱいにおい、土臭いにおいなど)もあるはず。
ゼリーのようなもの
透明感があり、揺らすと何となく粘度が感じられるゼリーのような小さな塊が、麦茶の中に浮かんだり底に沈んでいることがあります。
これは麦茶の成分を養分にして繁殖した雑菌の集団「バイオフィルム」。空気によく触れる注ぎ口などに発生し、そのうちつるんと容器の中に入ってしまうこともあるようです。
同時に、麦茶全体に濁りや香りの変化(酸っぱいにおい、土臭いにおいなど)も見られるはず。
沈殿物の状態 | 原因 | 発生するまでの時間 | 麦茶の状態 |
濃い茶色で細かい粉状 | 原材料の成分が沈んだもの | 作って間を置かず発生する | にごりなし、香りの変化もなし |
白いつぶつぶ | 麦茶の中のミネラルが固まったもの | 作って間もなく~数日 | にごりなし、香りの変化なし |
白くふわふわ・もわもわ | 雑菌やカビが麦茶の中で増えたもの | 作って数日後 | にごりあり、香りの変化あり(泥臭い、酸っぱい) |
黒い輪郭がはっきりしないつぶつぶ | 雑菌やカビが麦茶の中で増えたもの | 作って数日後 | にごりあり、香りの変化あり(泥臭い、酸っぱい) |
ゼリー状のもの | 雑菌が麦茶の中で増えたもの | 作って数日後 | にごりあり、ぬめりあり、香りの変化あり |
飲んでも問題ない沈殿物・浮遊物は?
いろいろな沈殿物・浮遊物の種類を紹介してきましたが、気になるのは「これ、飲んでも大丈夫?」ということではないでしょうか。
このうち飲んでも問題ないのは、原料となる大麦の成分が沈んだ「サラサラした沈殿物」。急須で入れた緑茶も、湯飲みの底に細かな茶葉などお茶の成分が沈むことがありますよね。それと同じ感覚といえそう。
水の中のミネラル成分が固まった白いつぶつぶも、飲んでも人体に影響はありません。
反対に避けた方がいいのは「ヌルヌル・モヤモヤ・フワフワ」した沈殿物や浮遊物。
これらは雑菌やカビが麦茶の成分を栄養にして成長したもの。にごりや香りに変化があったら、麦茶自体が変質している証拠です。
完全に腐ったものでなければ、飲んですぐに健康被害は出ないかもしれませんが、抵抗力のない小さな子どもや高齢者、体力や免疫力が落ちているときは飲むのをやめた方がよさそうです。
沈殿物の状態 | 原因 | 発生するまでの時間 | 麦茶の状態 | 飲用は? |
濃い茶色で細かい粉状 | 原材料の成分が沈んだもの | 作って間を置かず発生する | にごりなし、香りの変化もなし | 問題なし |
白いつぶつぶ | 麦茶の中のミネラルが固まったもの | 作って間もなく~数日 | にごりなし、香りの変化なし | 問題なし |
白くふわふわ・もわもわ | 雑菌やカビが麦茶の中で増えたもの | 作って数日後 | にごりあり、香りの変化あり(泥臭い、酸っぱい) | 避ける |
黒い輪郭がはっきりしないつぶつぶ | 雑菌やカビが麦茶の中で増えたもの | 作って数日後 | にごりあり、香りの変化あり(泥臭い、酸っぱい) | 避ける |
ゼリー状のもの | 雑菌が麦茶の中で増えたもの | 作って数日後 | にごりあり、ぬめりあり、香りの変化あり | 避ける |
とはいえ、あくまでもこちらは目安。飲めると説明した細かいサラサラした沈殿物や白いカルキのつぶつぶも、いつもとは違う香りであったり「やめておいた方がよさそう」と思ったら、飲むのはやめたほうがいいと思います。
なぜ沈殿物・浮遊物が発生するの?
沈殿物や浮遊物の正体は、大きく分けて
- 麦茶の原材料や成分が沈んだり浮かんだもの
- ミネラル成分が固まったもの
- 細菌やカビが繁殖して沈んだり浮かんだもの
に分けられることがわかりました。
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「麦茶の原材料や成分が沈んだり浮かんだもの」は、麦茶を作る過程で、不織布などで濾しきれない成分が麦茶パックやお茶パックなどから出てしまうことが原因。
ヌルヌル・フワフワ・モワモワした沈殿物・浮遊物は、麦茶の養分を栄養にして、細菌やカビが繁殖したことが原因です。麦茶は、緑茶やウーロン茶などと比べ、カビや細菌の栄養になる養分(炭水化物など)が豊富なので、そのぶん他のお茶と比べて変質しやすいのだとか。
そうそう、煮沸するからつい大丈夫と思ってしまうのですが、これを冷ます過程が重要になってくるんです。
カビや細菌が増える理由のひとつに「温度」があります。せっかく煮沸消毒しても、煮出した麦茶を冷ますとき、カビや細菌が繁殖しやすい30度~40度に保たれている間に、空気中に漂っていた菌が器に入り込み、繁殖してしまうことも!
また、麦茶には、お茶に含まれている殺菌効果があるとされる「カテキン」も入ってないのも、傷みやすい原因のひとつ。
・栄養豊富
・繁殖しやすい温度
・殺菌効果があるカテキンがない
ことが、麦茶が傷みやすく、カビや菌による沈殿物、浮遊物が出る理由と言えそうです。
麦茶の「沈殿物」「浮遊物」を防ぐには?
麦茶に沈殿物・浮遊物が発生する原因がわかったところで、それらを防ぐ方法について考えてみましょう。
麦茶パックを二重にする
麦茶に含まれる成分が沈むのが気になる場合、「麦茶パックの上にお茶パックをかぶせて二重にする」などの方法を取ることにより、余分な成分が外に出るのを防ぎます。
細菌・カビが増えやすい温度に放置しない
麦茶が細菌が増えやすい温度(30度~40度)のまま長時間放置するのはNG。
煮沸消毒できたとしても、常温のまま長時間おいておくと、空気中に漂っている雑菌やカビの胞子が麦茶に入り込んで増殖してしまう可能性もあります。それを避けるために、冷たい水や氷水などを使って急冷。その後は冷蔵庫に保存しましょう。
煮沸せず水出しで作った麦茶よりも、煮沸後、常温で長時間放置した麦茶の方が、雑菌が増えたという実験結果もあるのだそう。
煮出した後は急冷を徹底する、もしくは煮出しをやめて水出しで作るようにするのもよさそうです。
麦茶を入れる容器は清潔なものを使う
飲み終わったら、容器を水だけでバシャバシャとすすいでおしまい、という家庭も多いのでは?雑菌の繁殖を防ぐには、麦茶を入れる容器を清潔に保つのも大事。飲み終わったら容器を洗剤を使ってきれいに洗い、乾かします。
プラスチック製容器の場合、キズの中に雑菌が入り込んでしまうこともあるので、塩素系漂白剤などを使ってメンテナンスするのもおすすめ。耐熱性ガラス製の容器であれば、熱湯を使って殺菌しても。
麦茶パックは、長時間入れっぱなしにしない
麦茶パックには、麦の炭水化物なども含まれているため、入れっぱなしにすると、それを養分にして雑菌やカビが繁殖してしまいます。麦茶パックは、煮出したらすぐに取り出しましょう。水出しの場合、2時間ほど置いて成分を抽出させたら取り出します。
麦茶パックを清潔な場所に保存する
意外と盲点になりがちなのが、麦茶パックの取り扱い。雑菌やカビが繁殖しやすい高温多湿の場所に保存した麦茶パックを使うと、麦茶の中で雑菌たちが大繁殖……なんてことに。品質が悪くなるのを防ぐために、麦茶パックは冷暗所で密封して保存します。
また、水出しで麦茶を作る場合、清潔な手で麦茶パックに触れるようにします。
麦茶を作ったら、できるだけ早く飲む
何といっても、これが一番大事かも。どんなに保存状態に気を使っても、雑菌は徐々に増えて変質してしまうもの。作ったあとは保存する環境にもよりますが、冷蔵庫に入れるとしても、2~3日以内に飲み切るようにすれば安全です。
継ぎ足して麦茶を作らない
水出しで麦茶を作るとき、ついついやってしまいがちなのが、残り少なくなった麦茶にお水と麦茶パックを入れる「継ぎ足し」。
せっかくきれいな水を注いでも、継ぎ足ししたら、残っていた麦茶の中の雑菌が増えてしまう可能性もあります。麦茶は最後まで飲み切り、容器を洗ってから作ると安心ですね。
まとめ
サラサラとした茶色っぽい沈殿物なら飲んでも問題ない可能性が高いですが、ヌルヌル、モワモワ・フワフワした沈殿物や浮遊物はほとんどが雑菌やカビが原因。麦茶自体も変質している可能性が高いので、避けた方が無難といえそうです。
「容器や麦茶パックは清潔を保ち、煮出したあとは急冷して冷蔵庫に保存して、すぐに飲み切る」を徹底すれば、雑菌やカビによる沈殿物・浮遊物は避けられると思います。
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