かぼちゃといったら、煮つけや天ぷら、茹でてサラダなど、”加熱して食べるもの”というイメージが強いですよね。でも、さまざまな品種の中には、「生で食べる」ことを前提としたかぼちゃがあるのはご存じですか?
えっ?かぼちゃって生で食べて大丈夫なの?
生で食べられるかぼちゃは「コリンキー」「そうめんかぼちゃ」「鈴かぼちゃ」など。今回はその中のひとつ「コリンキー」についてリサーチ。
- かぼちゃは生で食べられる?
- 生食を前提とした「コリンキー」って?
- コリンキーはどこで買える?
- コリンキーのおすすめ料理と課題がある食べ方
- コリンキーを煮物にしてみたら?
についてまとめています。実際にスーパーで購入し、いろいろな料理に使ってみたところ、相性のいい調理法・悪い調理法もわかりました。「生で食べられるかぼちゃが気になる……」という方は、参考にしてみて下さいね。
Contents
かぼちゃって生で食べても大丈夫?
そもそもの疑問なんだけど、かぼちゃって生で食べても大丈夫なの?
加熱調理が定番という印象が強いかぼちゃですが、実は生食できます!……ただ、かぼちゃに含まれるでんぷんを生の状態で摂取することになるので、ちょっとした注意は必要。生のかぼちゃはコリコリした歯ざわりで、加熱した時とは違う食感になるのも特徴です。
かぼちゃは生で食べられるかまとめた記事はこちら↓
今回紹介する「コリンキー」は、生食前提で開発されたもの。そのほか、「鈴かぼちゃ」「そうめんかぼちゃ」も、生で食べられるかぼちゃとして知られています。
これが購入したコリンキー
こちらが私が購入したコリンキー。
「生食用」という珍しい野菜ゆえ、成城石井や紀ノ国屋、デパ地下の食料品売り場でしか販売していないのかと思っていたら、近所のスーパー「ヨークマート」でも売ってました。価格は398円。思ったよりも手頃な印象です。
それにしても、気になるのがオレンジ色の皮。ネットでコリンキーについて調べてみると、「皮はレモン色」「皮が柔らかい」というフレーズが多く出てくるのに、私が購入したコリンキーは店頭に並んでいた時から、思いっきりオレンジでした。
「偽物!?」と勘繰ったものの、どうやら、熟すと皮の色が濃くなるよう。私が買ったコリンキーは、熟成が進んでいる段階のもののようですね。
さて、次はこのコリンキーについて紹介。
旬:5~6月
主な生産地:山形県
特徴:さっぱりした甘さ、クセや苦みが少ない、シャキシャキ・コリコリした食感
含まれる栄養素:βカロテン、ビタミンB群、ビタミンC、食物繊維、炭水化物
コリンキーは2002年に品種登録された生食できるカボチャの品種。21世紀生まれの新しいカボチャの品種なんですね。生で食べられるように改良されたため、「サラダかぼちゃ」とも言われています。
コリンキーの特徴は、実を完熟させていないこと。そのため、クセや苦みが少ない味わいです。一方、熟成させていないので、でんぷん質は少なく、かぼちゃの特徴である甘さは控えめです。水分を多く含んでいるためコリコリ、シャキシャキした食感も魅力!
大きさは、一般的なかぼちゃより小さめで、500~1kg前後。形はというと、楕円形の栗かぼちゃとは違い、縦にやや長いです。
遠目から見ると、ちょっと大きな玉ねぎみたい?
コリンキーはどこで買える?
コリンキーは、旬の5~6月に、大手スーパーや百貨店などの野菜売り場、野菜の小売店などに並びます。そのほか、シーズンになると、食品宅配のOisixやらでぃっしゅぼーやなどでも販売。主な産地は山形県ですが、今は全国各地で栽培されているので、各地の道の駅などで購入できることも。
おはようございます😊もっこりニラ入荷しています😆コリンキーは生で食べるんだよ!!食感はパリパリしてて美味しい😆ハロウィン用🎃の置き物もカワイイでしょ"(∩>ω<∩)"
— 道の駅 みなみかた もっこりの里 (@minamikata3111) September 11, 2023
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ちょっとこじゃれたイメージなので、普通のスーパーでは売っていないのではと思ってしまうものですが、意外と身近なスーパーでも販売していたりします。
初夏になったらスーパーの野菜売り場を注意深くチェックしていると、出会えるかも!?
コリンキーの味は?
ではさっそく、コリンキーを食べてみましょう。最初に、普通のかぼちゃと同じように、ヘタを取り除きます。
皮や実がやわらかいので包丁が入りやすい……とは聞いていたので、サクッと切れるのかと思いきや、それなりに力は必要でした。「サクッ」ではなく「ぐっ、ぐっ、ぐいぐい~」という感じです。私が購入したのは大きい個体だったので、余計に切りにくかったのかも。手のひらサイズのコリンキーなら、もう少し楽に切れそうです
半分に切ったところ。実は普通のかぼちゃよりも、黄色味がやや強いです。
皮ごと薄く切ってみます。この「薄く切る」というのも、大きな実だと包丁ではなかなか大変なので、ピーラーが便利です。ピーラーは、やや値段が張りますが、貝印のがおすすめ(スルスル切れる~!キャベツの千切りも簡単)。100均のピーラーではスライスしにくかったです。
スライスしたコリンキーを盛り付け。
食べてみると、生のにんじんのように、コリコリした歯ざわりです。かぼちゃと聞かなかったら、「色が薄いにんじんだな」と思うかも。皮ごと食べましたが、特に皮があるから硬いとは感じませんでした。
味はというと、加熱したかぼちゃのような甘さはなく、全体的にさっぱり。はるか向こうから、わずかにかぼちゃの風味が鼻に抜けていきますが、さほど気にならないので、かぼちゃ嫌いの人でも食べられそう。
熟れていない果実は、特有の青臭さがあるものですが、コリンキーにはそれもほとんどなく食べやすいです。それでも中には青臭さを感じる人もいるかも。気になる場合は、サッと湯通しすると、食べやすくなります。
次は加熱して食べてみました。5ミリほどの厚さに切り、レンジで加熱したものを食べたところ……。
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ん?ズッキーニっぽい?
普通のかぼちゃのようなホクホク感はなく、水分が多いのでちょっと固めのズッキーニみたい。生で薄切りにした時には感じなかったかぼちゃ臭もほんのりと出てきました。加熱しても、甘さは少なめ。生の時に感じた食感のよさは、加熱すると失われてしまうのが残念!
ただ、普通のかぼちゃは加熱し過ぎると身が崩れてしまうことも多いのですが、コリンキーは身が硬め。なので、加熱する場合、炒め物なども形崩れせず仕上げられそうです。
これは美味!おすすめのコリンキーの食べ方
生でももちろん、加熱してもOKなコリンキー。いろいろな食べ方でコリンキーを試したものの中から、個人的においしいと感じたものをご紹介します。
かぼちゃのラぺ
コリンキーを細切りにして、塩・コショウ・砂糖・酢・オリーブ油で和えて作る「かぼちゃのラぺ」。コリンキーのシャキシャキした歯ごたえと、お酢のさっぱりした味わいで、箸休めにぴったりです。
味付けが面倒な時は、市販のセパレートドレッシングやイタリアンドレッシングを使うと簡単!
ピクルス
5㎜~7mmくらいの太さに切ったコリンキーを、ピクルス液に漬けます。にんじんに似たパリパリした食感でおいしい!パプリカやきゅうり、ミニトマト、大根と一緒に漬け込んでも美味しいです。
ピクルス液は、業務スーパーの「なんでもできるっ酢」を使うと簡単だよ
サラダ
千切りにしたり、薄切りにしてサラダに。千切りが面倒な時は、ピーラーを使って薄切りにするのがおすすめ。リボン状にきれいに剥けます。色が鮮やかなので、ちぎったレタスと合わせるだけで、きれいなサラダのできあがり!
ラタトゥイユ
トマト、ピーマン、なす、玉ねぎ、ベーコンなどを煮込んで作るイタリアの家庭料理「ラタトゥイユ」。ズッキーニが使われることも多いのですが、代わりにコリンキーを使って作っても美味しいです。色もズッキーニより鮮やか!
コリンキーとベーコンの重ね焼き
加熱調理の中で、我が家で一番人気だったのはこの料理。薄切りにしたコリンキーとベーコンをお皿に重ねて並べ、塩コショウしてオーブンに入れ、軽く焦げ目がつくまで焼くだけ!
コリンキーにベーコンの旨みが染みて美味!好みで粉チーズを振って焼いてもOKです。冷めても美味しいので、お弁当のおかずにもなります。
まずくはないけど、課題はあるかも……なコリンキーの食べ方
浅漬け
コリンキー5mmほどの薄切りにして、市販の浅漬けの素に漬け込みます。
パリパリの心地いい食感!……はいいのですが、同じ漬物でも、ピクルスの場合は酢の風味で瓜臭さがかなりマスキングされるのに、浅漬け&5mmほどの厚さで食べると、青臭いような独特の瓜臭が感じられます。瓜臭が苦手な人は、浅漬けよりピクルスの方が食べやすいと思います。
後味がスイカの皮の漬物に似ているかな?
コリンキーのポタージュ
かぼちゃのポタージュを、普通のかぼちゃの代わりにコリンキーを使って作ってみました。
まずくはないのですが、やっぱり普通のホクホク系のかぼちゃで作った方が旨みが強く濃厚な味わいです。甘みも少なく、全体的にあっさり。とろみもあまり付かず、色も薄めです。
天ぷら
薄切りにして天ぷらにしてみました。
油との相性もいいので、決して悪くはないのですが、味が淡白です。かぼちゃの甘みやほくほく感は感じられません。塩などでシンプルに味わう時、ちょっと物足りなさを感じるかも!?
いろいろ作ってみると、やっぱり生食用に開発されただけあって、生で食べる料理の方が相性がいいと感じました。かぼちゃは加熱することにより、含まれているでんぷんの甘みがアップ。それがかぼちゃのおいしさの魅力のひとつになるのですが、でんぷん質が少ない分、全体的に味が平べったいのです。
特に加熱調理で課題があると感じたのは、和食の「煮物」でした。次はかぼちゃの煮物を「コリンキー」「普通のかぼちゃ」と作り比べた結果をご紹介します。
コリンキーを煮物にしてみたら?
コリンキーを使った料理で、最も課題が残ると感じたのは、かぼちゃ料理の定番・和風の「煮物」!
普通のかぼちゃの煮物とどう違うのが試してみたくて、一緒に煮てみました。
こちら、右側がコリンキー。炊きあがりの時間は2つとも同じ。見比べてみると、意外にも、ややコリンキーの方が色が濃いめでした。
食べてみると……。
コリンキーの方は……。水分が多いせいか、べちゃっとしてるね
水分が多くみずみずしいのがコリンキーの魅力なのですが、煮物にするとそれが裏目に出てしまい、仕上がりが水っぽい。かぼちゃならではの甘みも少なく、味はちょっと寝ぼけています。同じ味付け・同じ調理時間なのに、普通のかぼちゃの方が味がしっかり入っています。
どうしても煮物で味わいたいという場合は、味付けに砂糖を少し多めに加えて味にメリハリをつけたり、レンジであらかじめ水分を軽く飛ばしてから煮るなどの工夫が必要だと思いました。
和風の煮物にはやや課題ありですが、ポトフやシチューなど、汁ごと味わう洋風の煮物には甘みが邪魔しない分、上手に使えると思います。前述したイタリアの煮込み料理「ラタトゥイユ」の素材として使うのはおすすめですよ!
まとめ
生で食べられるかぼちゃ「コリンキー」についてざっとまとめると
- コリンキーは2002年に誕生したばかりの新しい野菜
- 旬の季節にスーパーや小売店で販売。食材宅配サービスや道の駅でも取り扱うことも
- サラダ、ピクルス、ラぺなど、生で食べる料理に向いている
- 天ぷらやポタージュだと、味が淡白で物足りない感じ
- 和風の煮物だと味が寝ぼける
スーパーや道の駅で、見慣れないかぼちゃ「コリンキー」を見かけたものの、どう食べていいのかわからない場合は、参考にしてみてくださいね。
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