夏の水分補給の定番といったら「麦茶」。ポンと麦茶パックを水に入れるだけの水出しも手軽だし、やかんで煮出して作ると心なしか濃く感じられるし、風情もあっていいですよね。
でも、水出しにしろ煮出すにしろ、作ったあと麦茶を常温に置いたままにしておくのはNG!「最悪、たった一晩で変質してしまう」という声を聞きちょっと不安に。さっそくリサーチしてみました。
今回は
- 常温保存すると、一晩で麦茶が腐るって本当?
- 麦茶を常温で保存すると危険な理由
- 麦茶が腐りやすいのはなぜ?
- 麦茶を腐らせないためにできること
についてまとめています。おいしく安全に飲める麦茶を作るための参考にしてみてくださいね。
Contents
麦茶は一晩で腐るって本当?
「麦茶」「常温」で検索すると、「腐る」「危険」「一晩」というワードがズラズラ。ネットで調べてみると、「麦茶を一晩常温に置いておくと腐る」「夜、作った麦茶が、朝には腐っていた」という情報もあったりで、麦茶を飲む機会が多い人は心配になりますよね。
「麦茶は一晩で腐るか?」については、その保存していた状況によってはあり得るかも。食べ物の腐敗は原因である雑菌の繁殖に適した状況が重なると一気に変質が進むので、たとえば
- 麦茶を煮出して作ったたあと、手入れが不十分な容器に移し替えて、常温で放置
- 早く冷まそうとして、フタをちゃんとしめない
- 最低気温25℃以上の熱帯夜に一晩置きっぱなし
- 汚れた手で麦茶パックを触り、水出し麦茶を作った
- キッチンの場所は風通しがあまりよくない場所(熱気や空気がこもる)
などなどが重なっていると、思ったよりも早く変質が進んでしまうことも考えられます。
また、
- 作って時間が経った麦茶を常温で放置
- ペットボトルに入った飲みかけの麦茶を常温で放置
は、一晩で腐る可能性は大。特に一度口を付けた飲みかけの麦茶の危険性については、夏になるたびニュースなどでよく取り上げられますよね。
ちなみに、麦茶は悪くなりはじめると
- 酸味が出てくる
- 透明感がなくなる
という変化が現れます。
さらに変質が進むと
- 白いもやもやが浮かぶ
- 麦茶が濁る
- 水面のふちに白い濁りが出る
- とろみが出る
という状態に。さすがにこれほど変質が進んだら、飲むことはないと思いますが、「酸味が出る」は変質が始まった初期に出始める味の変化。
抵抗力が低い小さな子どもや赤ちゃん、高齢者に与える時や、病み上がり、体調が優れない時などは、いつもと味が違うと思ったら、潔く麦茶を処分する勇気も必要ですね。
実は麦茶は腐りやすい!作って常温で放置はNGな理由
麦茶を常温に置いておくと危険と言われるのはなぜか?
実は麦茶は腐りやすい飲み物のひとつ。適切な環境で保存しないと、かなりのスピードで痛みが進むのだそう。その理由は、大きく「原料」「煮出した麦茶を冷やす過程」「需要が高まる時期が夏」に分けられます。
麦茶が腐りやすい理由 原料の麦が雑菌のエサになりやすい
麦茶の原料は、麦(小粒大麦、大粒大麦、はだか麦)。緑茶や烏龍茶の原料である茶葉とは異なり、穀物である麦にはでんぷんやタンパク質が含まれています。
物を腐らせる雑菌は、そんなでんぷんやタンパク質が大好物。麦茶の中に溶け込んでいるでんぷんやタンパク質をエサに、雑菌が大繁殖してしまうといわけです。
また、麦茶には、茶葉とは異なり抗菌・殺菌作用がある「カテキン」が含まれていません。菌のエサはたっぷりあるのに、繁殖を防ぐストッパーがいない。増えない方がおかしいですよね。
麦茶が腐りやすい理由 煮出して作る過程に落とし穴が
「煮出して作れば煮沸できるので安心」と思っていませんか?特に小さい子どもを持つ場合、安心のためにわざわざ煮出して作る人も多いんじゃないでしょうか。
麦茶を煮出して作る場合、熱々の麦茶をそのまま冷蔵庫に入れることはできないため、粗熱が取れるまで冷まさなくてはなりません。ここで氷水や流水などを使って急激に麦茶の温度を下げることができればいいのですが、面倒だからと常温に放置したままでおくと、菌が増殖してしまうことに!
一時的に煮沸消毒で雑菌がいなくなったとしても、空気中にはたくさん雑菌が浮遊しています。やかんのすき間などから雑菌が入り込み、菌の絶好の増殖温度である30~40℃になった時点で大増殖!
特に夏は気温が高いので、常温に置きっぱなしにしてしまうと、菌が大好きな30~40℃の温度帯が長時間保たれてしまいます。結果的に菌が爆発的に増えてしまうんです。
麦茶が腐りやすい理由 夏は麦茶の需要が高まるから
夏は食事の時用、普段の水分補給用、学校用にと、麦茶を大量に作ることが多いですね。煮出して作る場合、気温が高いと大量に沸かした麦茶はなかなか冷めにくく、雑菌が繁殖しやすい温度に長時間保たれがちです。
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また、水出しの場合、作っても作っても足りないので、飲み終わった後は容器の洗浄は水洗いでチャチャっと簡単に済ませ、すぐに次の麦茶を作ってしまうことありませんか?
また、洗うのが面倒だからと水を継ぎ足して作り続けるというのもやりがち。容器は清潔に保たないと、残っている雑菌が新たに入れた水の中で増えてしまいます。
麦茶が腐るのを避けるためには
麦茶は腐りやすい飲み物ですが、いくつかポイントさえ押さえれば、麦茶を変質させることなく飲み切ることができます。
基本中の基本は「常温放置しない」。冬なら気温が低いので、常温に置いても夏ほどリスクは低いかもしれませんが、今の住宅は気密性もいいので、気温が低い時期でも注意するに越したことはないですよね。
その上で、次のような点に気を付ければ、より麦茶が長持ちします。
煮出して作った麦茶は急冷
家で煮出した麦茶は、すぐに水や氷水などを使って冷やします。人肌まで冷ますことができたら、ポットにうつしてできるだけ早く冷蔵庫へ。
10℃以下で保存する
雑菌は10℃以下では繁殖のスピードが遅くなります。麦茶は10℃以下を保てる冷蔵庫で保存するようにします。
麦茶ポットは清潔にする
洗い方が不十分なポットに麦茶を入れると、容器に付いていた雑菌が繁殖しやすくなります。清潔なポットを使いましょう。
麦茶ポットに付くヌルヌルについてはこちら↓
キズがあると、そこに雑菌が付きやすいので、キズがつきにくいガラス製のポットがおすすめです。
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麦茶パックを入れっぱなしにしない
麦茶パックには、煮出したあとも雑菌のエサとなるでんぷんやタンパク質がいっぱい。そのまま入れっぱなしにすると、風味も落ち変質しやすくなります。
煮出して作る場合、加熱が終わったら、水出しの場合は2時間ほど経ったら取り出します。
麦茶パックの取扱いにも注意
水出しの場合、麦茶パックはきれいに洗った手で扱いましょう。また、麦茶パックは、高温多湿の場所で長期間保存しないようにします。
麦茶パックは適切な場所で保存しないと、ダニがわくこともあるので要注意!
余談 実は私も一晩麦茶を放置していた
実を言うと私の実家では、夜のうちに麦茶を煮出し、そのまま置いておくというのを普通にやってました。私は昭和育ちですが、そうして沸かした麦茶を、これまた保冷機能のないプラ製の水筒に入れて、遠足や校外学習などに持って行くわけです。
傷みやすい常温で冷ました麦茶を、暑い日に長時間にわたって持ち歩く……。この記事を書くために、常温保存の麦茶の危険性をあれこれ調べた現在では、当時のことを思い出すと「ヒエー」。よくぞおなかを壊さなかったものです。
まとめ
夏に欠かせない麦茶に、常温は大敵ということがわかりました。
「朝食後、置きっぱなしだった麦茶ポットの麦茶を、帰宅後に飲む」
「熱帯夜に、麦茶を寝る前に作って、そのまま朝まで放置」
「常温で冷まして作った麦茶を、保冷機能のない水筒に入れて持ち歩く」
は避けた方が良いと言えそう。保存状態に気を付けて、おいしく麦茶を飲むようにしたいですね。
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